思考が深い人になるためのクリティカルシンキングとは?

あなたは誰かが『クリティカルシンキングが大切だ』と言っているのを聞いたことがあるのではないか?WORLD ECONOMIC FORUMによると、まさにクリティカルシンキングという思考法は2020年必要とされるスキル、第2位とされているほどに注目を浴びている。

一体このスキルを身につければ何が良くなるというのか。

端的に言うと、このスキルを身につければ「思慮深い人間」になることができる。

ここではクリティカルシンキングの意味・意義についてあなたにお伝えする。ぜひ、考え方の1つとしてインプットし、思慮深い人間になってほしい。

1.クリティカルシンキングとは

あなたはクリティカルシンキングの意味をきちんと答えることができるだろうか?多くの人が誤解している意味合いのつけ方として、「批判的思考」がある。確かにwikiを参照すると、

批判的に考えること

と記されている。これは大きく間違っているわけではないが、クリティカルシンキングの真の定義は批判的思考からさらに踏み込んだものだ。

確かに「クリティカル」そのものの意味としては「批判的」ではあるが、決して、物事に対して批判すること”だけ”がクリティカルシンキングではないことだけは強く認識してほしい。

真のクリティカルシンキングとは、与えられた情報をそのまま受け取ることではなく、「本当にそうなのか?」と疑問を持つことである。言い換えると、重要な情報かそうでない情報かを取捨選択し、その上で”正しく思考”できる能力のことをクリティカルシンキング、と理解しておくといい。何でもかんでも批判するのではなく、物事に対して吟味する姿勢を持つことに近い。 補足として次に、ロジカルシンキングと比較して、その意味合いを確かにしてほしい。

2.クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングはどう違うのか。

前提としてロジカルシンキングは「ツール」であり、クリティカルシンキングは「マインド」であるという違いがある。クリティカルシンキングについて加えると、クリティカルシンキングは心理的側面が強く、自分に対する姿勢、内省といったメンタルによるマインドセットを持つことにあたる。

一方でロジカルシンキングについて一言で言うと「物事に筋を通らせるための技術」になる。よってマインドセットであるクリティカルシンキングとは違っているものだと言える。具体的にどう違うのかは、以下の図でイメージして頂ければ、よりわかりやすいかと思う。

クリティカルシンキング図1

グロービス岩越祥晃氏の図示(http://mba.globis.ac.jp/blog/osaka-staff/41.html)
より改変して引用

クリティカルシンキングは、知識、技術よりも、「態度」でもあると理解すれば考えやすい。そして、クリティカルシンキングというのは、実は対象物に対して向けるのではなく、自分自身の考え方を見つめ直し、客観的な判断を下すことに比重おくことも1つの要素としていることがわかるだろう。

3.クリティカルシンキングの効果

前述した意味合いでクリティカルシンキングを使用すれば、どういったメリットがあるのか。簡単にお伝えしよう。

例えば、ある情報に対して、初めから疑いを持っているマインドと、素直に受け入れようとしているマインドではそれぞれ違ったインプットが生まれることは目に見えてわかる。前者は情報に対してのフィルターが厚く、吟味した上で情報を取り入れることができるが、後者の怖いところは、情報を鵜呑みにしてしまう点にある。

クリティカルシンキングの効果は、情報に対して懐疑的に考えることで、素直に情報を受け入れた時の深さより、深く物事を突き詰めることにある。以下、メリットを挙げておく。

・新しい事実が発見される
・前提を深く掘り下げることができる
・見落としをなくすことができる
・間違った議論を正すことができる
・より良い仮説を立て、検証することができる

4.実践するにはどうすればいいか?

効果があるとわかっているが、いざクリティカルシンキングを実践しようとしても、どうすればいいのかイマイチわからずじまいになってしまう。そのような経験を払拭するためにCarole Wadeen,Carol_Tavrisのガイドラインをご紹介しよう。このガイドラインに従って物事を判断すれば、クリティカルな結論を導き出すことができる。

何かの情報に対峙した時、

– 問いをたてる。
– 問題を定義する。
– 根拠を検討する。
– バイアスや前提を分析する
– 感情的な推論(「私がそう感じるから真実である」)を避ける。
– 過度の単純化はしない。 
– 他の解釈を考慮する。
– 不確実さに堪える。

以上の項目と照らし合わせながら、情報に対峙すると最初にあなたが感じた情報とはまた違った角度から、多面的に判断することができる。いまいちイメージできないかと思うので、具体例をご紹介しよう。

5.具体例:資格を取ればキャリアアップにつながるのか?

例えば、あなたが「資格を取れば市場価値が上がる」という情報を得たとしよう。この際には下記のように、たくさんの問いが立てられる。

・本当に資格を取れば市場価値が上がるのか?
・資格とはどのようなものを指すのか?
・そもそも資格とは世間一般で求められる能力なのか?

このような問いをたくさん立てられれば、その中で「資格を取れば市場価値が上がる」と改めて定義してみる。そうすると、その根拠を探すために企業の採用の際に、資格は重視しているのかどうかの根拠を検討することができる。

さらにその上で、あなたのバイアスを分析してみる。例えば、今まで耳にタコができるくらい聞いてきた「TOEICをとることはキャリアアップにつながる」というセリフによって、何の根拠もなしに「TOEICがキャリアアップに必須だ」という思考に偏っていないか。他に検討する余地はないのか少し複雑に考えたり、客観的な解釈を自身に求めることによって、本当の意味で「資格を取れば市場価値が上がる」ことが立証される。もちろん考えた挙句、「資格をとる時間は消耗でしかない」と結論づける場合もある。大切なのは、そこにクリティカルにヒットしているかどうか出ある。

他にも、あるニュースに対して、

そのニュースは誰が書いたのか?
ニュースにどのような意図が介入しているのか?

などといった「ニュースの裏にある隠れた前提」を吟味してみると、クリティカルな判断を行うことができるだろう。

まとめ

クリティカルシンキングを行うことによるメリットは、物事を表面だけで判断しないことにある。クリティカルシンキングを実践することで、物事を多面的に、また場合によってはより深層段階に深く掘り下げることが必要とされる。

あなたが日頃接している情報というのは、氷山の一角でしかないことを改めて認識してほしい。その情報の裏にあるものは何か、前述したガイドラインに沿って検討してみることが、真相に近づける近道だろう。決して物事をステレオタイプ的に決めつけないでほしい。

クリティカルシンキングによって、あなたの「当たり前」から解き放たれる時、新しい物の見え方が確立されるだろう。

WORLD ECONOMIC FORUM『The one thing we can’t do without in the Fourth Industrial Revolution』
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道田泰司「批判的思考の諸概念 人はそれを何だと考えているか?」、
『琉球大学教育学部紀要』第59号、琉球大学教育学部、2001年9月、 109-127頁、 ISSN 1345-3319。