この記事に見てくれているあなたは、何らかの形で新規事業立案に興味関心があることだろう。
この記事では、近年における新規事業立案のモデルを、「課題と解決策」に着目しながら、お伝えしていく。何らかの新しいビジネスを行う際に、何か少しでも参考になれば幸いだ。
目次
1.企業が新規事業開発を推進する理由を考える
なぜ、近年、多くの企業は新しいビジネスを展開していくのだろうか?
そもそも、新規事業立案をなぜやるのか?その意味を考えてみて欲しい。
答えをいうと、近年のビジネス環境におけるスピードが非常に早まっているからだ。
よく言われる話だが、改めて思い返してみて欲しい。
スマフォが普及しはじめてから、まだ10年と経たない。今もまだ携帯電話を使用している人はほぼいないと言っても良いだろう。メールも、今やLINE、SlackやChatWorkといったコミュニケーションツールによって代替されている。
つまり、めまぐるしい産業の発展によって、マーケットの変化スピードが著しくなり、今まで求められていたものが、急に求められなくなる。といった時代になっていることをお伝えしたい。
1-1.現状維持は衰退である
例えば、仮にあなたが経営者で、10年前、携帯電話の代理店事業を行っていたとしよう。
そこでもし、2010年から全く変化せず、現状維持に走ってしまっていたなら、どうなっていただろうか。
おそらく、既存事業は縮小し、衰退していっただろう。
変化をしない企業は、まさに「3年以内に倒産する70%の企業群」に入ってしまう。
したがって、現代において企業は、新しい事業を開発していく姿勢を持っておかなければならない。現状維持は、むしろリスクが高くなってしまうからである。
現代において、企業が新規事業を開発する意味は、生き残りを懸けた必然の活動なのだ。
2.新規事業の作り方
では、ここから新規事業の作り方のフレームをお伝えしていこう。新規事業とは、課題と解決策との組み合わせである。世の中にある、不便を解消する新しい解決策を生み出すことが新規事業である。したがって、新規事業を立案するならば、まずは良質な課題を発見し、世にまだない解決策を提案しなければならない。
2-1.まず、良質な課題を発見する
そして、ここで大事になるのが、課題の質である。なぜ、課題に質が必要かというと、解決策は変えられない上、課題が良質でないと、本質的な課題解決とならないからである。以下の図でイメージして見て欲しい。
課題の質が高まると共に、解決策の効果が発揮される。
もし、解決策の質は高いが、課題の質が低い場合どうなるかを考えてみよう。Google社が提供している「グーグルグラス」がプロダクトの例として考えやすい。
2-2.グーグルグラスの失敗から学ぶ、課題の質の重要性
グーグルグラスは、ソリューションとしての質は非常に高い。しかしながら、顧客の不便を解決するプロダクトではなく、そもそもの課題が存在しない「あったら良いな」程度のプロダクトであった。
つまり、グーグルプロジェクトは、顧客の趣味範囲でのウォンツを満たせるプロダクトとはなっていたが、多くの人が必要に駆られるニーズ課題を解決するするプロダクトではなかったのだ。
我々がグーグルグラスの失敗から学ぶべきなのは、常にユーザーの課題が本当に存在しているのか?その課題が本質的であり、かつ多くの人がその課題の必要性を認識しているか?を検証することである。
つまり、質の高い課題を発見することがビジネスを立ち上げる上で非常に重要になる。
課題の発見法については、当メディアの「問題発見方法」についても記しているので参考にしてみて欲しい。
それでは次に、課題と解決策の「新しさ」と「古さ」という軸の大切さをお伝えしていく。
3.課題と解決策の「新しさ」と「古さ」
新規事業を立ち上げる際に、もう1つ着目すべき点がある。それは、課題と解決策の「新しさ」と「古さ」である。例えば、以下のような3つのパターンを考えてみて欲しい。
- パターン1 | 課題と解決策どちらか、あるいは、どちらとも古い
- パターン2 | 課題が新しい
- パターン3 | 解決策が新しい
あなたは、3パターンの中で、どれが一番ビジネスとして成立しそうな着目点であると考えるか?
答えをいうと、パターン2とパターン3である。つまり課題、もしくは解決策が新しいケースが、新規事業開発において有利であると言える。なぜ、そう言えるのか。それぞれ解説していく。
まずは、ビジネスとして成立するには難易度が高いパターン1について解説していこう。
パターン1 | 古くから解決しない問題は、解決できない問題がゆえに
パターンの1の場合、新規事業として新く開発しようとすると、かなり難易度は高くなる。以下のがパターン1のイメージになる。
なぜ、昔からある課題や解決策に目を向けるべきではないのか?
昔からあるということは、先人がたくさんチャレンジしてきたのにも関わらず、今まで解けなかった問題であり。また解決策も古くなってしまい、現在においては通用しくなってしまうものがほとんどだと言える。
したがって、新規事業を生み出す際に、古くからある問題や解決策を扱う場合、うまくいかないことが多く、難易度が高くなることは覚えておくと良いだろう。
では、比較的難易度が低いものである、以下の2パターンをご紹介する。
- 課題が新しいパターン
- 解決策が新しいパターン
パターン2 | 課題が新しいと、ファーストペンギンになれる
課題が新しい場合とはどのようなケースか。それは大きく2つあって、1つは今まで気づく人が少なかったケース。2つは、時代の変化によって新く生まれたケースだ。
1つ目の今まで気づかなかった人が少なかったケースは、着眼点が鋭くなくては生み出せないが、2つ目の時代の変化において新しく生まれる課題は、比較参入が早ければ、マーケットを獲得することができる。
「〜が流行っている」に耳を傾けよう
例えば、最近「仮想通貨」が急速に話題になったが、この分野で多くの人が課題に感じたのは「仮想通貨における税金申告」であった。急激に増えた仮想通貨における所得を処理し、どれくらい税金がかかるのかを計算するソフトの需要が生まれ、その分野は新くビジネスとして確立された。
新規事業が生み出しやすい条件というのは、時代の変化に則した課題である。こういったセオリーから、やはり常日頃から最新の発表やテクノロジーの発展などに耳を傾ける習慣は非常に大切になるだろう。
さて、次はいたってシンプルではあるが、解決策が新くなった場合である。
パターン3 | 解決策が新しいと、革新的なサービスを生み出せる
解決策が新しいパターン。これは例えば、インターネット、プログラミング、AI、VRなどが発達したことによって、今まで解決できなかった問題が解決できるようになるパターンである。
具体例を言うと、Uber、Airbnb、メルカリなど挙げればキリがないが、これらのサービスは、インターネット、スマートフォンの登場によって、新しいサービス体験が生まれたことにより展開された。
メルカリなどは、もともと代替サービスとして中古屋やフリマなどがあったが、テクノロジーによって「便利に、安全に、簡単に」中古品を売れるようになったことで、爆発的にヒットした。
そう行った意味では、まだ気づけていない課題や、新く生まれた課題に対して、先端のテクノロジーを活用して今まで解けなかった課題を解決するのは、インターネットやスマートフォンが普及した現代においてはまだまだチャンスがあると言えるだろう。
バズワードに注意を
ただし、こうした事業立案をする際に、VRやAIなどと言ったバズワードを使用する際には、しっかりと課題を解決する打ち手としてふさわしいか。あるいは、具体的に解決できる方法を提案できるかが鍵になる。
空想上のアイデアはドラえもんの世界にとどめ、あくまで実現可能性を求めることが大事である。
4.新規事業の立案方法まとめ
ここまでをまとめよう。
- 企業は現状維持こそ衰退である
- 企業が生き残るには新規事業を打ち出していく必要がある
- 新規事業は、世の中に溢れる課題や、課題に対して解決策が「新しいもの」であるほど、新規事業として成立しやすい
- 注意点1)課題解決を求めるユーザーが本当に存在するか
- 注意点2)課題に対して、具体的に解決できる打ち手となっているかを検討すること
新規事業立案における基本中の基本となる考え方となる。
では、この一連のまとめを、ディスカッションなどでアイデアをどのように出し、具体的にどのような打ち手に導けば良いのか。もちろん、ただ、がむしゃらに発散するだけでは、実現可能性が乏しくなってしまうだろう。
そこで、以下、2つのフレームワークを使用することをオススメする。
- 「リーンキャンバス」で、ビジネスアイデアを整理し
- 「ピクト図解」で、ビジネスモデルに落とし込む
出し惜しみして、申し訳ない。この2つについては、また別の記事にてご紹介しよう。ここまで、読んでくださった方にとって、何らかのヒントとなる情報をお伝えできていれば幸いだ。
次回の記事は、リーンキャンバスの必要性やピクト図解の作成方法をお伝えする。楽しみにしてほしい。
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