就活、研修。ビジネスを学び始める場面で「ロジカルシンキング」というワードは誰しもが聞いたことがあるだろう。研修の1つとして学習させられるということは、どうやらビジネスの現場において、『ロジカルシンキング』というスキルが必要とされていることがわかる。
だが、そもそもロジカルである、論理的であるという状況は果たしてどういった状況なのか、あなたは「ロジカルである」とはどういった状況なのか答えられるだろうか?
そうした背景を理解しないまま、ロジカルシンキングを学んだところで「仕事に役立つ感」を得ることはできない。なぜなら、表面的な知識で終わってしまうからである。それはある意味、暗記と同じであり、実践には伴わないということでもある。
とはいえ、せっかく研修を受けたにも関わらず、何のパフォーマンスにもならないのは損だ。
もしあなたがビジネスパーソンとして活躍したいのであれば、ロジカルシンキングの概念を把握し直してみると良い。そうすれば、本来の研修の意味意義を最大限に仕事に活かせることができるだろう。
「ロジカルシンキングとは?」この問いに対して詳細をあなたにお伝えしよう。
目次
1.ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは何かという問いに対して、まず大きく2つの側面があることをまずお伝えしよう。
2つの側面とは、
- 学術的な意味合いのロジカルシンキング
- ビジネスの意味合いにおけるロジカルシンキング
これらそれぞれの側面は違った意味を持つ。違いを踏まえた上で、この記事では後者である「ビジネスにおけるロジカルシンキング」について説明する。なぜなら、ロジカルシンキングをビジネス研修等で学ぶ本質というのは、「スキルを学ぶことで、それがどのように”仕事”に生かせるか」であるからだ。
さて、「ビジネスにおける多くの人が身につけるべきスキル」と捉えて、もう一度定義し直すと、ロジカルシンキングとはさらに2つに定義できる。
1つは、「相手を説得させるためのコミュニケーションツール」である。営業やコンサルといった人に何かを伝えなければならない場面で、自分の伝えた内容が相手にとって納得できるものであるのか、その精度を高めるための能力である。
2つは、「目的を達成するために最善の方法を洗いだす思考のプロセス」としても定義することができる。物事をロジカルに考えるということは、1つとして筋が通っていることであり、そこに無駄がないということでもある。例えば筋道を立てて、目標を合理的に設定することもロジカルシンキングだと言える。
念のためビジネスにおけるロジカルシンキングのwikiの定義を示しておくと、
一貫していて筋が通っている考え方、あるいは説明の仕方のこと
とある。 何事においても「筋が通っている」と”相手に”納得してもらうこと。それがビジネスの現場におけるロジカルシンキングの必要性である。
2.具体的にどういった場面で役に立つのか
では具体的にどういった場面でロジカルシンキングの力が求められるのか、先ほどの定義も含めた上で2つに分けられる。
- 考える場面
- 伝える場面(話す・書く)
ビジネスを進めていく上で上記の2つの場面は避けては通れないものだ。
例えば、
目標に向かうためにはどうすればいいか「考える」
上司、同僚、部下、取引先にコミュニケーションを取るために「話す」「書く」
といった具合に、ロジカルシンキングが役に立つ場面は、ビジネスにおいて避けては通れない行為の上、成り立っていることが分かって頂けるかと思う。加えて、それぞれ深く解説していこう。
2-1.「考える」場面
あなたが仕事において成果を挙げたい、目標を成し遂げたいとした時に、「考える場面」は必ず存在する。
例えば、ある1つの目標に対して、それを達成するためには○○と○○が必要で、それらを効率よく進めるために○○がさらに必要といった風に思考していくことこそが、ロジカルシンキングが役に立つ場面だ。ロジカルシンキングができなければ、目標までの取り組みに対して、全く見当違いのアプローチをしてしまうことになる。そうならないためにもロジカルシンキングができると武器になる。
2-2.「伝える」場面(話す・書く場面)
働く上で、同僚や上司に何かを伝えなければいけないシーンにおいては、ロジカルであることが求められる。もちろん口頭で伝えるだけでなく、文章で相手に伝える場合もそうだと言える。
もし、あなたが何かを伝えたい時に、このロジカルさに欠けてしまうとどうなるのか。恐らく以下のように指摘されることになるだろう。
本当にそうなのか?
なぜそうなのか?
それだけなのか?
だから何なのか?
このように思われてしまうことになり、「会話そのもの」や「仕事における目的」に向かうまでに無駄が生じてしまう。
逆に言うと、ロジカルシンキングの力が身に付けば、自分が伝えるべきメッセージを過不足なく伝えることができるので、相手に伝わりやすいコミュニケーションを取ることができるというわけだ。相手に適切にメッセージを伝えることができれば、仕事における目的を達成するスピードも高まるだろう。
余談だが、学生が就職活動を進めていく上で「ロジカルシンキング」が必要だという話が出てくるのは、面接やグループディスカッションなどといった適切にコミュニケーション行わなければならない場面に遭遇するからだ。こうした場面において、ロジカルに自分の考えていることを100%過不足なく相手に伝え、そして相手に理解してもらえれば、恐らく採用の1基準には満たすようにはなる。つまり自分の言いたい事を適切に相手に伝える土台の部分として「ロジカルシンキング」のスキルは必要とされているのだ。
3.ロジカルシンキングが今、求められる理由
付け加えて、ロジカルシンキングの能力が以前より求められる理由についても少しお伝えする。2000年代になって、「ロジカルシンキング」がバズワードになったのも理由がある。時代背景を理解することで、その必要性を感じて頂ければ幸いだ。
3-1.グローバル化
グローバル化が進んでいくことで、なぜロジカルシンキングが必要とされるのか。海外に行ったことがある方なら理解しているかと思うが、国にはそれぞれ多様性があり、バックグラウンドが違う相手に対してコミュニケーションを取らなければならない。そうした時に、「世界におけるスタンダード」である「ロジック」を通すことが一番手っ取り早い。だから今、ロジカルシンキングが必要とされる。
「ロジック」とは、世界中の誰が見ても、「それは正しい」と思われる「考え方」そして「伝え方」である。以降説明する「思考の型」を使用すれば、おおよそ世界基準でも「ロジック」として納得してもらえるだろう。
3-2.日本のビジネス環境の変化
日本人の働き方は、従来「あうんの呼吸」で成り立っていた。これは行動経済成長期により、働き方に「チームプレイ」が重視して求められていたからである。いわゆる「空気を読むこと」に非常に長けており、そこに比重が置かれていた。しかし現在は、いかに合理的な判断を行い、効率的に業務を進めていくかといったスピード感に重点が置かれている。
合理的な判断を行うためには、「一貫して筋が通っている考え方」を行わなければならない。つまりはロジカルシンキングが必要とされる。
ロジカルシンキングが必要とされている場面や背景を踏まえれば、ロジカルシンキングが大切だということは分かっていただけだろう。では次に、どうすればロジカルシンキングを行うことができるのかの土台となる部分を説明しよう。
4.ロジカルシンキング行うための型とは?
いざ「ロジカルに考えなさい」と言われても、具体的に何をどのように思考すればいいのか、あなたはわからないと思う。なぜ「ロジカルに」が難しいのかというと、「考える」行為というのは人によってプロセスが違う上、可視化できず不透明な部分が大きいからだ。自分で新しく「考え方」を発見、理解し、自分のものにしていくことは難しい。
そこで、先人が作り上げてくれた「考える」を体系化されたツールを参考にしてみると、「考え方」をようやく理解することができる。また、型にはめて思考することによって、ゴールが見えやすく集中しやすくなる。
「考える」という行為は、自分の頭の中で動いている時点では現実ではゼロでしかない。実際にアウトプットを生み出すことでようやく「自らの思考」を認識することができる。「型」をまず認識し、まずはその上でアウトプットを生み出していくことがロジカルになれる近道だ。
ロジカルシンキングの考え方の型としては以下のようなものが代表的だ。
・ピラミッドストラクチャー(コミュニケーションのためのツール)
・ロジックツリー(問題発見・解決のためのツール)
さらに、これらの「型」に対して、以下の概念が付随する。
- MECE
- 演繹法・帰納法
- 弁証法
- クリティカルシンキング
狭義のロジカルシンキングに含まれるのは以上だが、広義のロジカルシンキングで捉えると、さらにたくさんの意味合いある。例えば「仮説思考」や、他の「様々なフレームワーク」がある。しかし、まずはロジカルシンキングの狭義における概念を把握し、使いこなせるようになってほしい。なぜなら上記のツールを使用すれば、一旦、日頃の業務の範囲のロジカルシンキングとしては十分だからだ。
5.ロジカルシンキングはどのようにして訓練すればいいのか?
「型」を知っていても、知っているだけで使いこなせるようにならないと意味がない。
そこで、簡単にだがロジカルシンキングができるようになるための訓練方法についてお伝えしておく。ロジカルシンキングを日常において鍛える方法は大きく2つある。
1つは、「日頃から物事に対して問いを投げかけること」
2つは、「帰納法や演繹法にて、抽象と具体を行ったり来たりしてみる」
この2つを日常意識することで、ロジカルシンキングの訓練方法になりうる。詳細が気になる方は、『優秀な人が毎日実践している、頭が良くなる思考トレーニング』こちらを見ていただきたい。
6.最後に
全ての人にロジカルが通じると思ってはいけない。
最後に、ロジカルシンキングの弊害についてお伝えしておく。ただ、誰が見ても正しい事柄であっても、場合によっては通じない場面がある。
ロジカルが通じない場面、それは「感情」を優先する場面だ。そもそも人という生き物は「感情」を優先させる生き物であることを忘れてはいけない。あまりにロジックにこだわりすぎて、本質を見失うことのないように注意もしておくべきだ。
まとめ
繰り返しになるが、ロジカルシンキングとは、
「相手を説得させるためのコミュニケーションツール」
「目的を達成するために最善の方法を洗いだす思考のプロセス」
こうした意味合いを達成するための手段として確立されている。
もしあなたが最短でビジネスの現場で活躍したいのであれば、スキルとしてまずロジカルシンキングの「型」を身につけ、実際のコミュニケーションや目的達成のための手段として実践してみてほしい。実践していく上で、ロジカルシンキングの重要性もより深まっていくことだろう。
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