たった3ステップで漠然とした考えを明確にして劇的に筆を進める方法

あなたは、文章を書く前や書いている最中に、自分の一番伝えたいことが何かわからなくなってはいないだろうか。何か言いたいことがあるのに、全体としてまとまりがつかなくなったことはないだろうか。こうした場面というのは、頭の中でアイデアが散乱してしまっている状態である。伝えたいことが頭の中でぼやっとしたままだと、必死に文書を書いても一向に相手に伝わらない。

では、どうすれば頭で考えたことを分散せず上手にまとめることができるのだろうか。結論を上手に導き出す方法として、この記事ではあなたにピラミッドストラクチャーのボトムアップ型アプローチ方法」をご説明する。この文章構成技術を使えば、あなたの最も伝えたいメッセージを洗い出せるだろう。

ピラミッドストラクチャーについて知らない方はこちらを先に見ておいて欲しい。

なぜピラミッドストラクチャーのボトムアップ型アプローチ方法」を使用するのか?

聞きなれない技術なので、なぜこの方法を使用するか先に説明しておこう。
ピラミッドストラクチャーのボトムアップ型アプローチ方法」を使用する理由としては大きく2つある。1つは、あなたの主張が明確でない場合。2つは、あなたの頭の中でアイデアが散乱してしまっている状態である。例えば、旅行の目的地が決定せず企画がイマイチ進まない場合や、ブログ等で書くネタが見つからない状態などである。アイデアが散乱している状態というのは、以下のようなイメージ図で表せる。

上記のように書くべきメッセージが決まらずアイデアが散乱してしまっている状態というのは、あなた自身の「主張」が一向に明確にならない。「主張」が明確にならない限り、読み手の疑問も明確にならない。こういった場合、手探りのようにアイデアを出してから、読者の求めているものを仮説として導き出すしかない。ではどうすれば導き出せるのか。結論への流れを補助し、適切に結論に導き出せるのがピラミッドストラクチャーのボトムアップ型アプローチ方法」になる。

3STEPであなたのアイデアを収束させる

ピラミッドストラクチャーのボトムアップ型アプローチとしては、以下のようなガイドラインがある。このガイドラインの3STEPに添えば、あなたが文章で伝えたかったメッセージが明確になるだろう。

①言いたいことをリストアップする
②出てきたことがら同士にどのような関係性があるのか・グルーピング
③みちびきだせる答えは何か

バーバラ ミント(1999)『考える技術・書く技術』ダイアモンド社

分散されたあなたの考えを収束するために、この3ステップをぜひ実践に当てはめながら進めてほしい。

STEP1 | 言いたいことをリストアップする

まずあなたが最初にすることは、メモ帳かA4の紙を用意することだ。そして、あなたの頭の中に浮かんだキーワードをとにかく紙に書き出せばいい。有名な著書で赤羽 雄二氏の「0秒思考」という技法があるが、その手法を用いてとにかく短時間で書けるだけ真っ白なページに単語を埋めていけばいい。「0秒思考」とは、自分が決めたお題に対して1分以内でとにかくアウトプットを抽出していく手法だ。あなたの頭の中にある混沌とした考えを、ブレーンストーミングによって発散させることに集中しよう。

また別の方法として、エビデンス(証拠、根拠、事実)をたくさん収集するところから始める方法もある。できれば漠然と伝えたいことがある中でも、エビデンスを優先して情報収集すると、後々に効率がいい。なぜなら最終的な結論が「根拠・事実」によって補強され、より強固なものになるからだ。エビデンスとは具体的に言うと、学者の書いた論文やその分野で権威のある専門家の意見のことである。それゆえ、収集が難しいといったデメリットもある。エビデンスから優先できればベストだが、基本的にはあなたの頭の中で散らかっている文脈をメモ帳やA4用紙に洗い出していくことに尽力することが近道だ。まずSTEP1では、あなたの思いつくままに紙にアウトプットを出して可視化しよう。

STEP2 | グルーピングする

キーワードをたくさんリストアップできれば、次にそれぞれの要素(キーワード)をグルーピングしてみる。以下の図でイメージしてもらえれば分かりやすい。

それぞれ出てきたキーワードに対して「結局、何が言えるのか?」を考える。もしそれぞれの根拠だけ切り取ってしまうとしよう。そうすると読み手目線に立った時「りんごが美味しい」と言われたところで「だから何?」と感じてしまう。そこで、他のキーワードとグルーピングして「果物は美味しい」と要約する。「バナナやミカンが美味しいから果物が美味しい」と説明できれば、読み手の納得を得るメッセージになる。この例だと一般的に言われていることなので簡単だが、複雑な文脈の中で要約して結論を出す作業は非常に難しい。そこで、グルーピングするにあたって様々な「切り口」を探すことをお勧めする。

切り口とは、簡単に言うと「カテゴリー」のことだ。今あなたが見ているこの記事だって様々なカテゴリーで分類することができる。例えば、仕事・ビジネス文書・文章術・ブログ運営といった風に様々な切り口でカテゴライズすることができる。最初からキーワード同士の「意味合い」「主張」を導き出すのが難しければ、あなたの最も伝えたいメッセージを軸に適切な切り口を選択しよう。切り口と発散したキーワードが合致すれば、それはグルーピングに成功している。キーワードを同じ属性同士で結びつけ、その後意味合いを持てせる作業を行うのがSTEP2である。

注意して欲しいのが、「分類だけ」で終わらないことだ。分かりやすくグルーピングするために切り口を探すことが必要と説いたが、キーワードから導き出した一段上のメッセージは、要約になっていなければならない。単にカテゴライズするだけでなく「意味合い」「主張」を考えなければ相手に伝わらないので注意だ。

STEP3 | 導き出せる答えは何か

要素のグルーピングができれば、メッセージに対して「だから何?」と問いかけていこう。これは、ブログ記事や、メール文書で言うと、本文に対して見出しや件名を適切に考えていく作業である。こうした要約を導く際に大事なのは、要約が読み手の期待に応えた主張になっているかどうかだ。例えば、読み手がAについて知りたいと思っているところで、Cの説明をしても意味がない。だからこそまとめ上げてきたメッセージは、読み手が求めているものであり、最も分かりやすい端的な表現でなければならない。これは「キャッチコピーを考える作業」と言い換えればイメージがつくのではないだろうか。キャッチコピーは伝えたい相手に、端的に伝えることに成功している。

STEP3では、あなたがまとめ上げたメッセージが、読み手に合わせた主張になっているのか明確にしていこう。STEP1でたくさんキーワードが創出されたとしても、導き出せるメッセージはたった1つしかない。そしてそのたった1つのメッセージが、読み手にとって何らかの意味があるものでなければならない。忘れてはいけないのは、あなたの書く文章が「自分が言いたい事」ではなく「相手の求めている事」になっているかどうかだ。

発散・要約こそが肝

ボトムアップアプローチは事実ベースになるため主観的にならないのが利点だ。一方でトップダウンだと、言いたいことに対して都合の良い情報を下に持ってきがちである。ただしボトムアップにも辛い所があって、アイデアの「発散」やキーワードの「要約」に力を使うことになる。あなたの頭の中で伝えたいことが明確でない場合、少しの力を使ってメッセージを絞り出してほしい。その際にこの3STEPは必ず役に立つだろう。この方法を使って、頭の中の漠然とした考えを霧が晴れたように明快にして、あなたの伝えたいことが相手に正しく伝われば幸いだ。

参考文献
バーバラ ミント(1999)『考える技術・書く技術』ダイヤモンド社

赤羽雄二(2013)『ゼロ秒思考』ダイヤモンド社

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100908/244644/ 
日経BP net | 論理入門:第10回 ピラミッドストラクチャ「ボトムアップで、事実から考える」

文章の構成技術についての関連記事も合わせてどうぞ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で