自分の書く文章がうまく伝わっているか不安だ。どうすれば、読まれる文章を書けるのだろう。あなたはこういった悩みを抱えてはいないだろうか。
文章が正しく伝わらないのは、表面的なメッセージばかりを無意識で伝えてしまっているからだ。すると、相手にとって「なぜそれを言っているのか」がわかりづらくなってしまう。自分と相手で認識が異なるのは常にあるが、文章だと特にそれが顕著になる。例えば、LINEでメッセージを送った際に、相手に意図を誤解されて、小さなトラブルになったことはないだろうか。
そんな中、文章を通して100%相手に自分の意図を伝えるにはどうすればいいのか。それは文章を書く前に、あなた自身で「言いたいこと」と「その根拠」を正しく整理すれば解決できる。この記事では、「言いたいこと」から「その根拠」を構成するためのただ1つの技法をお伝えする。この技法を身につければ、あなたの書く文章は、100%相手に正しく伝わるようになるだろう。
目次
「伝えたいこと」を相手に”伝えきる”ためには、どうすればいいのか?
『表面的なメッセージばかり伝えてしまい、相手にとって伝わらない、納得されない状態』とは具体的にどのようなことを指すのか。理解を深めて頂くために、読み手の視点から文章を構成する必要性をあなたにお伝えしておく。これは「人に何かを伝える際に重要かつ、基礎的な考え方」でもあるので、ぜひ把握しておいてほしい。
以下の図を見て頂きたい。あなたが表面的なメッセージばかりを伝えていると、読み手はこのように感じてしまいかねない。
「言いたいことを言っているだけ」では、読み手からすると氷山の一角に過ぎない。
氷山を想像してほしい。もし、あなたの文章が全体を通して抽象的なメッセージだった場合、読み手からすると、まさに氷山の一角しか見えていないことになる。氷山の一角しか見えなければ、読み手に納得してもらうことは不可能になる。なぜなら読み手はあなたの主張に対して、最終的に、「本当にそれだけなのか?」という疑問が残ってしまうからだ。そうならないためには、読み手の疑問をしっかりと解消して、水面下の氷山を露わにしていく作業が必要となる。
潜在的な部分を読み手に知ってもらう作業が必要。
読み手に納得してもらう文章を書くためには、結論として、メッセージを元に根拠を掘り下げながら、構成を整理していかなければならない。では、根拠を掘り下げて整理するにはどうすればいいのか?それが、これからお伝えする「ピラミッドストラクチャー」のトップダウン型アプローチになる。
※ピラミッドストラクチャーをご存知でない方はこちらで概念を把握しておいてほしい。
ピラミッドストラクチャーで、読み手に伝わるレベルまで掘り下げる。
ピラミッドストラクチャーのCRFというフレームワークがある。CRFとは何かというと、Conclusion,Reason,Factの頭文字を取ったもので、それぞれ上から「結論」「理由」「裏付け」となる。なぜCRFというフレームをここで説明したのかというと、この3段階に当てはめると、比較的文章の構成がしやすく、「伝えたいこと」に対して根拠も正しく補強されるからだ。
早速だが、これから具体的にCRFに沿いながら、トップタウンアプローチでのピラミッドの作り方を紹介していく。
手順の全体像は以下のようになる。
STEP1. あなたの一番伝えたいメッセージを仮に決定する
STEP2.あなたの最たるメッセージと読み手の問題がマッチしているか検討する
STEP3.主張がわかれば、その主張に対して読者が疑問に思うことに返答していく。(理由)
STEP4.理由の裏付けとなる証拠や科学的根拠を揃える
それでは、STEP1の「主張」の部分から順に解説していこう。
STEP1 | あなたの一番伝えたいメッセージを仮に決定する
主張から掘り下げるように構成していく上で1番肝となるのは、「あなたの一番伝えたいメッセージは何か」ということである。トップダウンで文章を作成する最初のステップは伝えたいメッセージを仮に決定することから始まる。かなり抽象的な例だが、例えば、以下のようなものである。
- ビジネスの現場だと、「この施策を提案します」
- 商品PRだと、「この商品を買ってほしい」
- 作文やブログだと、「〜に行ってきて、楽しかった」
これらは抽象的ではあるのものの、ピラミッドストラクチャーを作成する取っ掛かりとして非常に大事だ。こういった結論を明確化しなければ、次のステップである「読み手の疑問」に対してのすり合わせができなくなる。
ちなみに、この記事であなたに一番伝えたいメッセージは、「文章を正しく伝えるための文章構成方法」だ。この最たるメッセージの裏には、読み手の疑問に暗に答えていることをステップ②で認識してほしい。
STEP2 | メッセージが、読み手の問題にマッチしているか検討する。
あなたが文章を書く目的は、ほとんどの場合、誰かに見てもらって何かを伝えることだ。誰かに見てもらう限り、あなたは読んでくれる人の期待に答え、自分の「最たる主張」を伝えなければならない。
ここで大事なのは、あなたは読み手が一番疑問に思っていることに対して、クリティカルに答えれているかということだ。そのためには、読み手の最たる問題は何かを考えて、問題に対する主張を適切に決定する必要がある。
- 作文やブログだと、「楽しかった」←どう楽しかったのか?どうすれば楽しくなれるのか?
- 商品PRだと、「商品を買ってほしい」←その商品の何がいいのか?他の商品とどう違うのか?
- ビジネスの現場だと、「この施策を提案します」←現状は把握しているのか?本当に成功するのか?
こうして列挙してみると、書き手と読み手にはギャップが存在していることがよくわかる。
文章は、読み手の疑問に対して答えることができないと、残念ながら読んでくれないし納得してもらえない。書き手にとっての伝えたいメッセージが、読み手にとって必要とされているメッセージかどうかは異なることを念頭においてほしい。そうすれば、客観的な目線で読み手の疑問に答えることができる。
導入部分で文章は決する
たいていの場合、文章の書き出しに「疑問」が集約される。例えば、この記事におけるターゲットとなる読み手は「伝えたいことを正しく相手に伝えたい」「文章の構成方法を知りたい」と考えている人たちである。この人たちの疑問に対して、クリティカルな書き出しとしては、「伝えたいのに伝わらない、なぜか?」という問いがはじめに来る。次に解決策として「根拠をしっかり明示することが大事」という主張になる。
この記事の読み手は「文章を正しく伝えたい」だが、もしこれが仮に「美しい文芸作品を作り上げたい」だとしよう。そうすると読み手がこの記事を見てもクリティカルな答えにはならない。この読み手に対しては、「美しい文章の表現について」といった記事になるだろう。つまり読み手に合わせた導入部分を心がけなければ、伝わらないし、そもそも読まれない。
読み手に合わせたライティングというのは、導入部で全て決定されている。ここが明確であれば、文章全体のメッセージ性も確かなものになるだろう。導入部分については、こちらにも詳細が書かれているので、合わせて読んでいただくと理解が深まるだろう。
「意識すれば、あなたの文章が今より評価される”1つの本質”」
STEP3 | 主張に対して読者が疑問に思うことに返答していく。
疑問に対する結論を明示しても、まだ読み手が知らない事柄はたくさん隠れている。これは例えば、あなたが上司に現場の現状を報告をする時だってそうだ。結論だけ伝えたところで、上司はあなたの状況やなぜそれが言えるのかについて把握していないのでピンとこない。伝わらないコミュニケーションをしないためにも、何と何があれば相手が納得してもらえるのか、その根拠を強くして伝えなければならない。
根拠は一般的にMECE(漏れなく、ダブりなく)になっているべきだとされるが、ピラミッドストラクチャーにおいては「モレ」だけはないように注意しておけば問題ないだろう。(ダブリは場合によって可)
文章の書き方として、短い文にすると「私がそのように思う理由は3つある。1つは〜で、2つは〜。3つは〜である。」こうなる。ブログ記事やコンテンツなどは「見出し」が理由になるように構成すれば、よりわかりやすいだろう。主張に対して相手が納得出来る理由を考えるためには、読み手で発生した疑問に論点を抑えて答えていこう。
STEP4 | 理由の裏付けとなる証拠や科学的根拠を揃える
読み手の疑問に対する理由が揃えば、さらに生まれる「それって本当なのか?」という疑問を確信に変えていく作業に移らなければならない。「それって本当なのか?」を解消するには、証拠を明示していくことだ。具体的にどのような根拠を明示するといいのか、大抵以下の3点が主であるだろう。
- 科学的に実証されていること
- 権威・見識がある人の意見
- 客観的なデータ・事実
例えば、本メディアの記事である「意志が弱いあなた」と決別して人生を変える7つの方法の記事においては、「意志が強い人ほど人生は成功する」と主張している。その科学的根拠として、ハーバード大学のマシュマロ実験で立証されたエビデンス(証拠)を引用している。
こうした「証拠」を理由に補強することによって、驚くほど説得力のある文章になる。今のご時世、WEBで検索すればたくさんの論文やデータを収集することができるので、GoogleScholarといった論文検索ツールや研究所のデータを上手に活用してみてほしい。
以上で「文章を正しく伝えるための4STEP」は終了だ。今一度おさらいしておこう。
STEP1. あなたの一番伝えたいメッセージを仮に決定する
STEP2.あなたの最たるメッセージと読み手の問題がマッチしているか検討する
STEP3.主張がわかれば、その主張に対して読者が疑問に思うことに返答していく。(理由)
STEP4.理由の裏付けとなる証拠や科学的根拠を揃える
まとめ
大事なのは、あなたの伝えたいことに対して、読み手の疑問に答え続けること。そして説得感を持たせることだ。決して「氷山の一角」の文章を作成してはいけない。そのためには理由や根拠が欠かせない。上記のステップ通りに構成してみることによって、あなたの文章が読み手を唸らせるほどの文章になれば幸いだ。
参考・文献
バーバラミント,1999,ダイヤモンド社『考える技術・書く技術』p3-46
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